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ヴォルカノフスキーが語るイヴロイエフ戦|38歳王者「自分にだけは相性がいい」

最終更新日 · Fight Atlas編集部 · 読了 10分

2026年10月24日(日本時間25日)のUFC 333で、20戦無敗のモフサル・イヴロイエフを迎え撃つフェザー級王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキー。試合前のインタビューで王者は、「イヴロイエフは自分以外の全員に勝てる。でも自分にとっては相性のいい相手だ」と語り、5ラウンドを待たずに倒すことまで予告しました。

この記事では、UFC on Paramount+が公開したインタビュー動画(約13分)から、試合を見るうえで押さえておきたい発言を取り上げて解説します。大会全体の見どころは「UFC 333の見どころ」にまとめています。

インタビューの要点

  • イヴロイエフは「挑戦権に値する、ふさわしい相手」。ただし相性は自分に有利だと見ている
  • 相手の勝ち筋である「25分間組み続ける」展開は、自分には通用しないと断言
  • 38歳になり「全盛期ではない」と認めつつ、練習量を調整して強度は保っている
  • 「この試合の後、過去最高のヴォルカノフスキーだと言われる」と勝利を予告
  • 打撃の名手マウリシオ・ルフィや、元ミドル級王者イズラエル・アデサニヤと練習し、互いに刺激を受けている

「自分以外の全員に勝てる」――挑戦者への評価

ヴォルカノフスキーは、まずイヴロイエフを高く評価しています。無敗で勝ち方を知っていて、5ラウンド戦えて、必要な武器をすべて持っている。もっと早くタイトルに挑戦してもよかったくらいだ、とも話しています。そのうえで、こう続けます。

「彼は自分を除けば(階級で)一番の選手だと思う。他の全員には勝つだろう。でもスタイルの相性で言えば、自分にとってはやりやすい相手の一人なんだ」(動画2:50ごろ)

イヴロイエフはUFCでの勝利がすべて判定で、レスリングで相手を抑え込み、何もさせずにラウンドを取りきるタイプです。元バンタム級王者アルジャメイン・スターリング、アーノルド・アレン、そしてのちにヴォルカノフスキーと2度王座を争うディエゴ・ロペスにも勝っています。この「相手を封じ込める力」が多くの選手にとって最大の壁になってきましたが、王者は「他の選手を苦しめてきたものが、自分には問題にならない」と見ています。

25分間のレスリングは「自分には通用しない」

イヴロイエフの勝ち筋は、テイクダウンと組みで5ラウンド・25分間を支配することです。ヴォルカノフスキーはここを真正面から否定しました。

「誰も自分を25分間押さえ込むことはできないと思う。それが彼のいつもの勝ちパターンなのは分かっている。でも自分相手にはそうはならない」(動画3:30ごろ)

さらに「テイクダウンしたいならどうぞ。試合が長引くほど、それは彼にとって不利に働く」とまで言い切っています。組まれること自体を恐れず、組み合いを続けて相手のスタミナを削る、という考え方です。

この自信の根拠として、本人が引き合いに出したのが、ライト級王者だったイスラム・マハチェフとの対戦です。ヴォルカノフスキーは2023年2月のUFC 284でマハチェフに挑み、判定で敗れました。ただ、試合は最後まで競り合う接戦でした。インタビューでも「イスラムには負けたが、1戦目がどれだけ接戦だったかはみんな見ている」と触れ、階級最高峰の組み技を持つ相手とも渡り合えたことを強調しています(同年10月の再戦UFC 294では、1ラウンドKOで敗れています)。

疲れ切った状態で追い込む「シャークタンク」

なぜ組み合いに強いと言えるのか。ヴォルカノフスキーは練習の中身を具体的に語っています。

ひとつは、関節技・絞め技の防御練習です。わざと極めを深く入れさせて、ぎりぎりのところから逃げる練習をしていて、「それで練習相手にタップさせられても構わない」と言います。練習のスパーリングで負けたくないと、危ない形になる前に避けてしまう選手が多い中で、あえて一番苦しい場面を繰り返し経験しているわけです。

もうひとつが「シャークタンク」と呼ばれる練習です。疲れていて、減量中でもある自分に、元気な練習相手が次々に入れ替わって襲いかかる。その一番苦しい状態でもやられないか、を確かめています。

「みんな練習はきついと言う。でも、ジムで本当にどこまで自分を追い込めているのか」(動画5:30ごろ)

王者が繰り返し口にしたのは、「体力があること」と「苦しい状況に対処できること」は別物だ、という点です。試合ではストレスで焦ってパンチを振り回したり、むやみにタックルに入ったりしてしまう。その中で冷静に対処できるかどうかが勝敗を分ける、という考え方で、5ラウンドのタイトル戦を何度も戦ってきた王者ならではの視点です。

38歳「全盛期ではない」と認めたうえでの勝利予告

ヴォルカノフスキーは、この試合を38歳で迎えます。インタビューでは年齢についても隠さずに語りました。

5〜6年前と同じ練習はもうしていない。ただ、試合を想定した高強度の練習(ファイトシミュレーション)の強度は落としておらず、そこで出力が出ている限りは問題ない。食事・栄養・回復はチームが管理していて、練習量を抑えても「まだ他の誰よりも練習している」と言います。

そのうえで飛び出したのが、この予告です。

「全盛期だとは言わない。25歳のつもりもない。でも、この試合の後、みんなが『これまでで最高のヴォルカノフスキーだ』と言うはずだ」(動画9:20〜9:40ごろ)

年齢による衰えを認めたうえで、「全盛期だから」ではなく「この相手とのスタイルの噛み合わせなら、最高のパフォーマンスを見せられる」という理屈です。決着についても「5ラウンドの前に、序盤でも倒せると思っている」と話しており、判定決着が多いイヴロイエフ相手にフィニッシュを狙う構えです(動画10:40ごろ)。

ルフィ、アデサニヤとの練習でチームに刺激

インタビューの最後では、ヴォルカノフスキーのジムに集まる打撃の名手たちとの練習についても語っています。

ライト級の上位で活躍するマウリシオ・ルフィは、ヴォルカノフスキーのもとでレスリング対策に取り組んできた選手です。インタビュアーも、ルフィが「ヴォルカノフスキーのおかげで強くなった」と話していることに触れています。また、元UFCミドル級王者イズラエル・アデサニヤは2026年3月、16年間所属したニュージーランドのジム、シティ・キックボクシングを離れ、オーストラリアのウーロンゴンにあるヴォルカノフスキーのジムで練習するようになりました。

ヴォルカノフスキーは、ジムの仲間はみな自分と同じく組まれても立ち上がるのがうまく、そのジムの文化はルフィにぴったりだと説明しました。そのうえで、「最高の打撃家の一人」から打撃がなぜ通用するのかを直接聞いて学べる一方、相手が自分たちに求めているのはレスリング対策と、その土台にある考え方だと話しています(動画11:50ごろ)。

「技術はいくらでも教えられる。でも、疲れて苦しくなった時に、その苦しさを受け入れられなければ、全部吹き飛ぶ。テイクダウンされたって構わない。立ち上がって自分の戦いをすればいい」

打撃のトップ選手たちと教え合いながら練習を重ねていることも、今回のキャンプの特徴です。

映画『ストリートファイター』にも出演

インタビューの冒頭では、俳優としての仕事にも触れています。ヴォルカノフスキーは、2026年10月に海外で公開された実写映画『ストリートファイター』で、1987年の初代ゲームに登場したキャラクター「ジョー」を演じています。撮影はシドニー大会の直前で、試合があったため出番は小さくなったものの、「小さくてもインパクトのある役になった」と話しています。

質問ごとの要約

インタビューの流れを、質問ごとに要約しました(発言の逐語訳ではありません。時刻は動画内のおおよその位置です)。

Q. 映画『ストリートファイター』の撮影はどうだった?(0:00ごろ)

これほど大規模な作品は初めてで、素晴らしい経験だったと振り返りました。最初は出来がどうなるか半信半疑だったものの、現場で予算のかけ方を目の当たりにして期待が高まり、予告編を見て「思っていた以上に良い」と感じているそうです。

Q. セリフを覚えるのは、試合より緊張した?(0:50ごろ)

緊張はしなかったと回答。演出の範囲内で自分なりに演じられたので、カメラの前でも落ち着いていられたと言います。決められたセリフを正確に覚えるのは苦手だと笑いつつ、周りが驚くほど自然に演じられたと話しました。出番が小さめになったのは、撮影がシドニー大会の直前だったためです。

Q. 無敗のイヴロイエフは、これまでのレスラーとどう違う?(1:50ごろ)

勝ち方を知っていて5ラウンド戦える、挑戦権にふさわしい相手だと評価。階級で自分の次に強く、他の選手には勝つだろうとしたうえで、スタイルの相性は自分に有利で、むしろ他に脅威に感じる選手がいるとまで言いました。25分間押さえ込まれることはなく、テイクダウンを狙われても長引くほど相手が不利になる、とも語っています。

Q. 5ラウンドの試合に向けて、どう準備している?(4:00ごろ)

体力がある選手は多いが、試合のストレスや苦しい展開の中で対処できるかは別の話だと説明。関節技はぎりぎりまで深く極めさせてから逃げる練習をし、疲れて減量中の状態で元気な相手と次々に組む「シャークタンク」で追い込んでいると明かしました。「苦しい状況を受け入れて、必ず抜け出す方法を探す」のが自分の考え方だと強調しています。

Q. キャリアを重ねても、手を抜かずにいられるのはなぜ?(7:20ごろ)

チームのおかげで、練習の強度は以前と変わっていないと回答。ただ、5〜6年前と同じ量をこなすと逆効果になるため、量は抑えて、試合を想定した高強度の練習で狙った出力が出ているかを基準に調整しているそうです。38歳で全盛期ではないと認めつつ、「この試合の後、過去最高の自分だと言われる」と予告しました。

Q. 試合の展開がもう見えているように聞こえるが?(10:00ごろ)

手の内は明かさないとしながら、イヴロイエフは簡単な相手ではないものの、自分が勝つと断言。5ラウンド前、序盤でのフィニッシュも狙えるとし、判定までもつれても全ラウンドで上回ると話しました。

Q. コーチ役としての役割や、ルフィ・アデサニヤとの練習について(10:50ごろ)

もともとチームで教え合う文化があり、教えることは好きだと回答。ジムの仲間はみな自分と同じく、組まれても立ち上がるのがうまい選手たちで、そのジムの文化はルフィにぴったりだと言います。打撃の名手からは打撃を学び、自分たちはレスリング対策とその土台にある考え方を伝える、という形で互いに刺激を受けていると話しました。

まとめ:王者の見立ては当たるのか

インタビューから見えてくるのは、ヴォルカノフスキーがイヴロイエフの強さを認めたうえで、「組み合いの消耗戦」こそ自分の土俵だと考えていることです。マハチェフとの接戦で示したように、組み技の強い相手と5ラウンドを戦い抜いた実績もあります。

ただし、これはあくまで王者側の見方です。イヴロイエフはこれまで20戦、誰にも自分の展開を崩されずに勝ってきました。挑戦者側の言い分は「イヴロイエフが語るヴォルカノフスキー戦」で解説しています。38歳の王者が予告どおり「最高の自分」を見せるのか、それとも無敗の挑戦者がまたも判定を取りきるのか。試合の勝敗やラウンドは「試合予想」で予想できます。対戦カードの詳細や日本での視聴方法は「UFC 333の見どころ」をご覧ください。

参考

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