UFC 333記者会見まとめ|王者ヴォルカノフスキーと無敗イヴロイエフが舌戦
最終更新日 · Fight Atlas編集部 · 読了 11分
UFC 333の試合を2日後に控えたアブダビで、試合前の記者会見が開かれました。メインイベントで戦うフェザー級王者アレクサンダー・ヴォルカノフスキーが「誰も自分を押さえ込めない。試合は立ち技になる」と言い切ると、20戦無敗の挑戦者モフサル・イヴロイエフは「ゲームプランはない。KOされたいならそうしてやる」と応戦。会場の歓声とブーイングが飛び交う、約28分の会見でした。
この記事では、会見の流れを時系列で振り返ります。見出しの時刻は動画内のおおよその位置で、発言は要約・抜粋です。
会見の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日時 | 2026年10月22日(木)、試合の2日前 |
| 場所 | アラブ首長国連邦・アブダビ |
| 長さ | 約28分(最後に両カードのフェイスオフ) |
| 大会 | UFC 333(現地10月24日/日本時間25日) |
登壇者は次の5人です。
| 登壇者 | 立場 | 戦績 |
|---|---|---|
| アレクサンダー・ヴォルカノフスキー | フェザー級王者 | 28勝4敗 |
| モフサル・イヴロイエフ | フェザー級挑戦者 | 20勝0敗 |
| ピョートル・ヤン | バンタム級王者 | 20勝5敗 |
| メラブ・ドバリシビリ | バンタム級挑戦者(前王者) | 21勝5敗 |
| ダナ・ホワイト | UFC代表 | ― |
会見ドキュメント
0:00 登壇:ドバリシビリにはブーイング、イヴロイエフには大歓声
司会の紹介で、セミファイナルのドバリシビリ、ヤン、メインのイヴロイエフ、最後に王者ヴォルカノフスキーの順に登壇しました。会場の声援はヤンとイヴロイエフに集まり、ドバリシビリにはブーイングが浴びせられました。
2:30 最初の質問は王者へ。「このパズルは前にも見た」
最初の質問は、映画『ストリートファイター』で演じた「ジョー」の衣装と髪型で現れたヴォルカノフスキーへ。記者に「髪型が最高」といじられつつ、イヴロイエフに未知の部分はあるかと聞かれると、こう答えました。
ヴォルカノフスキー「このパズルは前にも見たことがある。彼は無敗で、勝ち方を知っていて、何でもできる。でもそれだけでは自分には足りない」
続けて、キャリア終盤でも若い強豪と戦い続ける理由を聞かれると、「ベルトや防衛より、挑戦を乗り越えることの方が大事。彼にはまだ負けがない。それを奪いたい」。
4:00 イヴロイエフ「今度は応援されすぎて話せない」
イヴロイエフにマイクが渡ると、会場から大歓声が起き、なかなか話し始められません。9月にロサンゼルスで開かれた会見では、ブーイングを浴びて「黙れ」と言い返していた選手です。
イヴロイエフ「前はいじめられていたのに、今度は応援されすぎて話させてもらえない」
「史上最高のフェザー級を倒して王者になる意味は?」と聞かれると、「彼が史上最高なのはみんな知っている。だから自分を試しに来た」と答えました。
5:10 ダナにも質問が飛ぶ
セミの勝者は史上最高のバンタム級王者と言えるか、と聞かれたダナ・ホワイトは「すぐには答えられないが、土曜日の結果次第で、たぶんイエスだ」。続く質問への答えの中で、ヴォルカノフスキーは「彼(イヴロイエフ)が地元のような声援を受けられてうれしい。ただ、それが今回の一番いい思い出になる。勝つのは自分だから」と、早くも挑発を返しています。
7:30 中国の記者から「ソン・ヤドンに王座挑戦を」
中国メディアの記者が、上海大会でウマル・ヌルマゴメドフをKOしたソン・ヤドンの王座挑戦と、中国でのナンバーシリーズ開催を要望。ダナは前回の中国大会が記録的な成功だったことに触れ、「可能性は十分にある」と答えました。ただし「イエスと言っているわけじゃない。可能性があると言っている」と念を押しています。
8:20 本題へ。王者「その手は自分に使うな」
会見の空気が変わったのは、オーストラリアのFox Sportsの記者の質問からです。ヴォルカノフスキーが以前、イヴロイエフの前戦(2026年3月のレローン・マーフィー戦)について「序盤3ラウンドは観客を楽しませようと打撃で戦い、最後の2ラウンドでいつものレスリングに戻った。自分相手にはやらないでほしい」と話していたことを振られると、王者はこう畳みかけました。
ヴォルカノフスキー「テイクダウンしてみろ。それでも試合は立ち技になる。自分が立ち技にさせるからだ。倒されても、押さえ込み続けるのは不可能だ」
さらに「今回は過去一番危険なイヴロイエフになる。立ち技を強いられたことが一度もないからだ。焦ってタックルに逃げられず、焦ってパンチを振るしかなくなる」と予告しました。
9:40 挑戦者「KOされたいなら、そうしてやる」
同じ記者から、作戦を変える必要を感じるかと聞かれたイヴロイエフ。答えは短いものでした。
イヴロイエフ「ゲームプランはない。この夜、彼が何を持ってきても対処できる。打撃で来るならそれでもいい。KOされたいなら、そうしてやる」
「押さえ込めない」という王者の言葉には、「王者に敬意を払ったうえで言うが、自分はやりたいことは何でもできる。それを証明する」と返し、会場が沸きました。
10:15 衣装トーク:「ジョー」と英国スーツ
張り詰めた空気は、衣装の話でいったん和みます。「映画のジョーより大会での成績は良くしたい?」と聞かれたヴォルカノフスキーは、「そう言えるね。映画の時よりずっと絞れているからうれしい」。
一方のイヴロイエフは、ドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』風のスーツ姿をいじられ、「前回ロンドンに行った時に買った。イギリスのスタイルが好きなんだ」と説明。「でも今日は彼の衣装の方がずっといい」と、王者の衣装に白旗を上げました。
11:20 「判定ばかりの無敗」をめぐる応酬
「イヴロイエフはUFCでフィニッシュがない。それも自信の理由か」と聞かれた王者は、「彼は一度もフィニッシュされたことも、負けたこともない。簡単な道はない」と認めつつ、「スタイルの相性を考えればフィニッシュできる。それもかなり早い段階で」と宣言しました。
すると、すかさずイヴロイエフが割って入ります。
イヴロイエフ「フィニッシュがないこと、それが自分の一番怖いところだ。彼もそれを分かっている」
12:10 「土曜日は新しいイヴロイエフを見せる」
王者が自信過剰になっていないかと聞かれたイヴロイエフは、「彼は以前のイヴロイエフを見て、そう信じて言っている。土曜日は新しいイヴロイエフを見ることになる」。
これを受けてヴォルカノフスキーは、インタビューでも語っていた見立てを繰り返し、メインの2人への質問を締めくくりました。
ヴォルカノフスキー「彼は階級の誰にとっても一番厄介な相手だ。自分以外にとってはね」
13:10 ブーイングにドバリシビリ「ここは自分の場所」
セミの2人に質問が移ります。ファンの人気者になったのに、今日は敵地のような反応だが、と振られたドバリシビリは、ブーイングを逆手に取りました。
ドバリシビリ「ここは自分の場所だ。自分はアブダビが大好きで、アブダビも自分を愛している。だから土曜日は瞬きするな」
14:15 ヘビー級のヴォルコフが「新人記者」として乱入
会見で一番の笑いが起きたのがこの場面です。同じ大会に出場するヘビー級のアレクサンドル・ヴォルコフが記者席からマイクを握り、「UFCを始めたばかりの新人で、あなたに似ているアレクサンダーです」と自己紹介。ヴォルカノフスキーに「王者になるにはどうすればいい?」と助言を求めます。
続けてダナにも同じ質問。ダナも話に乗って戦績や年齢を聞き返したうえで、「(マッチメイカーの)ショーンとミックに相談しろ」と答え、会場は大笑いでした。
16:30 ロシアの記者「イヴロイエフを解雇しないと約束を」
ロシアの記者が、無敗の選手が契約を更新されなかった件を挙げ、「イヴロイエフも同じ目に遭わないと約束してほしい」とダナに迫りました。背景にあるのは、UFCで7戦全勝・通算16戦無敗のファリド・バシャラートが契約を更新されなかった件です。ダナは10月17日のエドモントン大会後の会見で「16勝0敗で再契約されないなら、理由は必ずある」と話していました。
ダナはこの場で、「何も約束はできない」としながら、以前の発言は一般論で、特定の選手を名指ししたものではないと釈明。イヴロイエフについては「彼は今、タイトル戦を戦おうとしている。心配する必要はまったくない」と答えています。
18:40 セミの2人へ「心理的に有利なのは?」
1勝1敗で迎える3戦目。前回王座を奪われたドバリシビリは「自分の戦い方を信じている。今度は勝てる」。王者ヤンは「自分にとっては新しい試合。前の試合のことは考えたくない。王座を守る」と答えました。
20:10 ヤン「アブダビは最高の場所」
アブダビで大声援を受けるヤンは、2020年にこの地でジョゼ・アルドを破り初めて王座を獲ったことを振り返り、「アブダビは自分にとって最高の場所だ」。前回の再戦のような判定での完勝か、フィニッシュかを聞かれると、「いつもチームの作戦どおりに戦う」としつつ、ドバリシビリを完全に攻略すると強気の言葉を並べました。
23:30 「ジェットコースターで一番叫ぶのは誰?」
会見も終盤、「この島(アブダビのヤス島)にちなんで、ジェットコースターで一番大声を出しそうなのは?」という質問がヴォルカノフスキーへ。「メラブはかなりうるさくなりそう。いや、自分もかな」と答えると、ダナが「会見が長すぎて、ジェットコースターの質問が出てきた。あと1問だ」とツッコミを入れました。
24:00 最後の質問は「ジョージア大会を」
最後の1問は、ダナへの要望でした。「イリア・トプリアやドバリシビリなど、ジョージアの選手が増えている。2027年にジョージア大会を開いてほしい」という要望に、ダナはこう答えました。
ダナ・ホワイト「取り組んでいる。答えはイエスだ」
ただし、開催が正式に発表されたわけではありません。会見はこのあと、会場の少年から「頭を剃ってくれたらチケットをくれる?」と頼まれたダナが「剃らなくてもチケットはあげる」と返す一幕を挟み、フェイスオフへと移りました。
会見から見えた構図
メインの2人の主張は、最後まで正面からぶつかったままでした。
| ヴォルカノフスキー | イヴロイエフ | |
|---|---|---|
| 試合展開の見立て | 押さえ込めない以上、立ち技の勝負になる | ゲームプランはない。何が来ても対処できる |
| 決着 | 早い段階でのフィニッシュ | 「フィニッシュがないことが一番怖いところ」 |
| 相手への評価 | 自分以外の全員にとって一番厄介な相手 | 史上最高のフェザー級。だから自分を試しに来た |
王者は「組み」を封じて相手を立ち技に引きずり込むと言い、挑戦者は手の内を明かさずに「新しい自分」を予告しました。会場の声援は挑戦者寄りでしたが、試合で主導権を握るのはどちらか。両者の考え方は、それぞれのインタビュー記事「ヴォルカノフスキーが語るイヴロイエフ戦」「イヴロイエフが語るヴォルカノフスキー戦」でも詳しく解説しています。
勝敗や決着ラウンドは「試合予想」で予想できます。対戦カードの詳細や日本での視聴方法は「UFC 333の見どころ」をご覧ください。
参考